2026年2月のOtegamiフリマ
東京都豊島区目白にある「切手の博物館」で、年に4回開催されている「Otegamiフリマ」。
今年で10周年を迎えた。
私はおそらく2年目あたりからメンバーに加えていただき、以来ずっと出店を続けている。長く参加している作家さんもいれば、新しく加わった方もいる。それぞれ歩みは違うけれど、共通しているのは「郵便が好き」という気持ちだ。

Otegamiフリマでは毎回、記念小型印押印が行われる

可周久作「切手のメジロが桜の枝にとまる」ポストカード
Otegamiフリマは、お客様だけでなく出店者にも郵趣(郵便にまつわる趣味)を持つ人が多い。そのため会場には、どこか「共通の仲間感」のような空気が流れている。定期的に顔を合わせるうちに、新しい友情や人間関係が生まれることも少なくない。
こう書くと「初めてだと入りにくいのでは」と思われるかもしれない。けれど実際はその逆だ。
時代の流れとともに郵便事業が縮小傾向にある今、郵趣に興味を持ってくれる人は、男女や年齢を問わず大歓迎される。むしろ古参メンバーほど、喜んで迎えてくれるだろう。
「紙物」「スタンプ」「旅行」が好きな人は、きっと郵趣と相性がいい。
「私のことかも?」と思った方はぜひ、Otegamiフリマへ(^-^)
今回も二日間盛況のうちに幕を閉じた。
足を運んでくださったお客様、イベント関係者の皆様には、いつも感謝の気持ちが絶えない。支えてくださる人々のおかげで、私たち作家は活動を続けていくことができるのだから。
これからも喜んでいただける楽しい作品を作っていきたい。
反転地って何?
さて、今回私のブースで盛り上がった出来事ついて書こうと思う。
私は風景印のコレクターだ。過去のコレクションブックを置いていたところ、それを見て一人のお客様がこうおっしゃった。
「あ、養老公園口郵便局。私の地元なんです。」

岐阜県養老町 養老公園口郵便局の風景印
「そうなんですね。これは郵頼したもので、私はまだ現地に行ったことがなくて。」
「ちょっと珍しいところなんですよ。反転地とかあってね。」
「反転地」。初めて聞く言葉だった。それは何か?と質問したら、周りにいた他のお客様やイベントスタッフも集まってきて、やんややんやと、ちょっとした談義が始まってしまった。
千葉県と岐阜県にある「反転地」、「養老」という地名。これらが絡み合った上、詳しい知識をもつ人間はその場に一人も居ないものだから、しゃべるだけしゃべって結論は出ないという、取り留めのないお開きとなってしまった。
イベント中の出来事だからゆっくり調べるわけにもいかず、私の中には疑問の澱が残る。
「反転地」って何だ?
千葉・岐阜の「反転地」「養老という地名」問題
帰宅して調べた。物理にも地学にも弱い人間に分かりやすく教えてくれる頼もしい存在、それはAI。
スッキリ結論が出たので、備忘録をかねて以下にまとめた。
岐阜の反転地
まず「反転地」とは、世界的な芸術家カップルが生み出した「極限で創造的な体験をするための場所」を指す言葉。
岐阜県養老郡養老町にある「養老公園」内に、巨大な体験型アート施設「養老天命反転地」がある。岐阜の反転地とは、これのことだ。
単なる公園や庭園ではなく「身体の感覚を揺さぶり、死に抗う」という壮大なテーマで作られている。地面が急斜面やすり鉢状で平衡感覚をつかみにくかったり、「さっき見た景色が上下逆さまに見える」「建物の中が迷路のよう」など、頭が混乱する仕掛けが各所にあったりなど、身体的にも知覚的にも、なかなかしんどい体験をすることになるようだ。
つまりお客様が言っていた「岐阜の反転地で感覚がおかしくなった」という体験は、磁場の影響ではなく、人が生み出した「不安定な場所」に身を置いたことで起こった現象。

話のきっかけを作った「養老公園口郵便局」は、これが存在する養老公園のすぐ近くにあります。
千葉の反転地
続いて千葉。これは皆様が仰ったとおりチバニアンのことだが、「磁気反転地層(じきはんてんちそう)」が正しい呼び名で、「反転地」とは呼ばない。
言葉の中に「はんてんち」という発音が含まれているから、勘違いする人がいるということだな。
チバニアンは「約77万年前に地球の磁気が反転した(北極はS極、南極がN極の常識がくつがえる)」ことを証明する地層で、その出来事の経緯・証拠があまりに鮮明に残っていたから(保存状態パーフェクトレベル)、世界的に有名になった。
地層だからつまり自然物であり、今現在そこの磁場が逆転しているわけではなくて、「地球にはそういう時期がございました」という記録のこと。
気になったので、ついでに聞いてみた。

今、地球の磁場が反転したら、どんなことが起こるの?
体内に「生体磁石」を持っている動物に混乱が起こり、集団で座礁したり、巣に帰れなくなる。
2、オーロラが世界中で見える
オーロラは地球の磁力線に導かれて「北極や南極」に集まるので、磁力線が複雑に絡み合うと、世界中のいたるところで出現する可能性がある。
3、電子機器や通信へのダメージ
人工衛星の故障、大規模停電、GPSが使えない、スマホやネット環境が大混乱。
…ということらしい。地獄。
養老という地名
「養老天命反転地(岐阜)」と「養老渓谷(千葉)」。どちらにも「養老」がつくが、これはただの偶然。
どちらにも「普通の場所ではない(不思議なパワーや歴史を感じる)」という共通のイメージがあったり、「はんてんち」という発音に被りがあったりで、「養老」という地名にも何か意味があるのでは?と連想させてしまったということ。
反転地についての結論
岐阜:人間が、頭と体をバグらせるために作った不思議な公園
千葉:地球が、大昔に磁石の向きを変えた歴史の証拠(正確には「反転地」ではない)
| 岐阜(養老天命反転地) | 千葉(チバニアン周辺) | |
|---|---|---|
| ジャンル | 現代アート(人工) | 地質学・科学(自然) |
| 正体 | 荒川修作による体験型芸術作品 | 地球の歴史を示す学術的に貴重な地層 |
| 目的 | 身体の可能性を広げるため | 地球の歴史を証明するため |
| 地面の状態 | コンクリート、極端な斜面 | 川沿いの崖、粘土質の地層 |
どっちも行きたいわ
風景印には全国各地の情報が入っているから、今回のように1つの印から話題が発火して、面識のない人間同士でも会話が盛り上がることがある。新たな旅の楽しみも生まれた。
千葉にはすぐに行けるが、チバニアンがある市原市のHPによると、現在地層見学は中止とのこと。より安全に見学できるように、橋や施設の築造を行なっているとのことだ。2026年7月から再び見学できるらしいから、OPENしたら出かけることにしよう。
岐阜はちょっとハードな場所で、とは言いつつエンターテインメント要素もあるみたいだから、一人で行くのはなんだか惜しい。できればアクティブで足腰が強い相棒が欲しいな。
ふと、ある人物が頭に浮かんだ。この人もまた郵趣から縁が繋がった一人だ。
さっそく彼女にハガキを書く。
「一緒に岐阜の反転地に行ってみませんか?」

情報のまとめ
- 住所
- 〒171-0031 東京都豊島区目白1丁目4−23
- HP
- https://kitte-museum.jp/
- Otegamiフリマ
- 年4回、切手の博物館で開催される郵便イベントです。毎回限定の小型記念押印があります。紙物、スタンプ、旅行好きな人には特にオススメです!

